からくり

職場では相変わらず不良製品をゼロにする努力が続いております。
ヒューマンエラーをなくすために新たな手順を付け加えていくやり方で、今では一工程終了までにかなりの手間を要する結果になってしました。すべてが手作業で行われるのですが、ヒューマンエラーを減らすのに手作業の回数を格段に増やすってのはなんだかパロディーみたいな気もしますね。事実今でも不良は出ています。

実は今回の大目標を掲げてすぐに数値的な効果が如実に現われ、これを見た上層部がかなりの手ごたえを掴んだというのも今回のこの強い流れの根底にあるわけですが、実はこれ大きな裏があります。
今の仕事は簡単に言うと刀鍛冶みたいなもので、1ロット数十個の製品をあらゆる手作業と過去の経験と確認作業で窯を使いながら指定された厚さの範囲内に仕上げていくというものなんです。厚さはミクロン単位の誤差も許されません。これを夜中にやるわけね。(笑)
前工程も手作業だから誰が担当したかによって当然1枚1枚のもつ密度も違ってくるし、それによってうちの工程での厚さ出しの作業の負担も全然違ってくるんです。1枚あたり数時間単位で誤差が出てきます。
これまで現場では生産性を上げる努力のひとつとして"あえて不良を出す"方法をとっていました。あらかじめ設定されている不良としての許容個数の範囲ならば無理に数日かけて仕上げるよりも完成品として次工程に流せばトータル的な生産量は格段にアップするんです。
上層部はこれを知らないんですね。だから表面的な不良枚数だけにこだわっている。おそらくこれでかなりの人件費と経費がかかっていると思われます。今、忙しくなっているのもそのせいです。

もちろん、それで俺たちの残業が増えれば収入が増えるからそれはそれで良いんですけどね。ま、しばらくは暖かく見守りたいと思います。って、他人事のように言っちゃまずいか。